チャーミングな人

かっこいいチャーミングな大人の男の人が次々に

亡くなってしまわれて、本当に寂しい。

安西水丸さんと平田先生。

安西水丸さんは、以前、和田誠さんとの対談を観に行って

お二人ともとても素敵な方でした。

そして、平田先生は言わずもがな、私たちの大切な先生です。

大学は出たけれど・・って、小津監督の題名のようにもやーとしてた時に

昔から好きだった帽子を学びたいと思い、洋裁をしていた母に相談したら

帽子なら断然平田先生でしょ!

と言われた。

広尾にお教室があることを友達が探してきてくれて

無事に通い始めた。

自由に作りたいものを作らせて頂けて、楽しかった。

こんな授業が大学にあったらって話を、ゼミ時代の恩師にお話した。

先生もほんとは大学もそうなるべきよねって、おっしゃてた。

その後も私が帽子作りをしていることを気に掛けて下さって

今の時代は手に職よっておっしゃって下さった。

教室を卒業して、縁あって平田先生の会社に入れて

本当に嬉しかった。

入ってからの数年間は、お店での販売や雑務担当でバタバタとしていて

くじけそうに何度もなったけど、いつもアトリエの方々に助けて頂いた。

やっと、会社で、帽子作りに携われることになった時は、

あー私はやっぱり帽子が作りたかったんだなって、

久しぶりにわくわくした。

でも、数年間の下積みは、決して無駄じゃなかったなって、

自分で帽子をデザインして、製作するようになって、初めて思えた。

その期間に多分誰よりも多くの平田先生とアトリエの方々の

素晴らしいお仕事に、触れていられたから。

どこまでも柔軟で、帽子にタブーはないんだなって思わせて頂けたのも

どんな材料にも可能性を見いだしてただ見た目の派手さに頼るのではなく

美しさと被りやすさを追求していく姿勢。

品の良い簡潔なフォルム。

時代に流されるのでもなく、時代を無視するのでもなく

平田先生にしか作り出せない、あの愛しいフォルムは

永遠の憧れで、目標です。

本当にチャーミングでどなたからも好かれていた平田先生の

お人柄が、きっと帽子にも表れていたんだろうなと思います。

ご自分の大切な物を貫き通して表現し続けること。

大切な先輩方が残して下さった多くのことを糧にして、

私もいつまでも少しでも永く続けていけるように

頑張らなきゃなと思いました。

先生がブリムをヒュッーと触ってくせづけなさる仕草が思い出されます。

本当にたくさんのことを学ばせて下さってありがとうございます。

さあ、マリービスケット、食べよ。